私はよく、東南アジアの国々に撮影に出かけます。
ある土地の風土を見るには、
その土地の宗教について、ある程度知る必要があります。
東南アジアを旅する時は、
少し仏教の歴史について知っておくと
より旅を楽しめますし、
風景を見る目も変わってきます。
タイ、ラオス、ミャンマーなどの国々に行くと、
その国の人々の仏教に深く根ざした
暮らしぶりを見ることができます。
東南アジアのお坊さんの僧衣は、
鮮やかなオレンジ色、黄色、シックなえんじ色です。
仏像の顔も、建物も、
それぞれの地域でいろいろですが、
日本に伝わった仏教とは、
ずいぶんと様子が異なります。
古代インドで発生した仏教は、
大きく捉えると、
インドでは少数派で、インドから中国を経て、
日本に伝わった大乗仏教。
その大乗仏教の中でも、
ネパールを経由し、
チベットの土着の宗教と融合し発展したチベット仏教、
東南アジア方面へ伝わった
上座部仏教があります。
昔、私たちは、世界史などで、
上座部仏教を「小乗仏教」と教わりました。
「小乗」とは、大乗仏教から見て、
差別的な表現である、ということで、
今は「上座部仏教」と呼ばれています。